ジャパンフリトレーが行ってきた学会での発表や論文を掲載しています。
(注)○印は発表者
加工用トウモロコシにおけるフェルラ酸含量の差異
【発表日】2021.9.8【学会名】日本調理科学会 2021年度大会
【発表者】〇山本 剛優※1, 伊藤 政喜※1, 奈良 一寛※2
※1ジャパンフリトレー株式会社
※2実践女子大学 生活科学部 食生活科学科
【内容】
スナック菓子の原材料として多く利用されているトウモロコシは全粒穀物として知られており、フェルラ酸を多く含んでいることが明らかとなっています。しかし、トウモロコシの種類等におけるフェルラ酸含量の違いは明らかになっていないため、本研究にて調査を行いました。
その結果、フェルラ酸量はポップ種において顕著に多く含まれていました。また、ポップ種は加工後のポップコーンにおいても原料と同程度のフェルラ酸が残存していることが明らかとなったため、ポップコーンはフェルラ酸の摂取源として有用な素材である可能性が示唆されました。
目次
【目的】
スナック菓子の原材料として多く利用されているトウモロコシは、不溶性食物繊維を豊富に含む全粒穀物として知られています。また、トウモロコシがもつ不溶性食物繊維には、ポリフェノールのひとつであるフェルラ酸が結合した食物繊維が含まれることが明らかとなっています。フェルラ酸には神経保護作用や抗酸化作用といった種々の生理活性があることが近年明らかとなってきていますが、トウモロコシの穀粒の形や性質におけるフェルラ酸の動態については十分に明らかになっていません。そこで本研究では、トウモロコシ多糖類の微細構造を明らかにするため、トウモロコシの種類や加工品におけるフェルラ酸含量の差異について調査しました。
【結果】
トウモロコシ(ポップ種、デント種、スイート種)およびトウモロコシ加工品であるポップコーンを材料とし、粉砕した試料を一定量はかりとり、水酸化ナトリウムを加えアルカリ処理することでフェルラ酸を遊離させ、遊離したフェルラ酸を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定しました。
その結果、フェルラ酸量はポップ種において顕著に多いことが分かりました。また、ポップ種はバタフライ型とマッシュルーム型に分類されますが、バタフライ型の方がフェルラ酸量が多く、さらに同じバタフライ型においてもアメリカ産の方が日本産よりもフェルラ酸量が多いことが分かりました。
また、ポップ種は加工後のポップコーンにおいても原料と同程度のフェルラ酸が残存していることが明らかとなりました。さらに、ポップコーンの部位別にフェルラ酸量を分析した結果、細胞壁のある果皮に特異的にフェルラ酸が含まれていることが明らかとなりました。
【まとめ】
本研究により、トウモロコシの種類によってフェルラ酸に差異が見られることが明らかとなりました。中でもポップコーンは、フェルラ酸が多いことから、その摂取源として有用な素材であることが示唆されました。