ジャパンフリトレーが行ってきた学会での発表や論文を掲載しています。
(注)○印は発表者
ポップコーンの摂取が健常者の便通及び腸内環境に与える影響―ランダム化並行群間比較試験―
【発表日】2024.11.30【学会名】日本食物繊維学会 第29回学術集会
【発表者】〇竹澤夏菜、山本 剛優、伊藤 政喜
ジャパンフリトレー株式会社
【内容】
ポップコーンの継続摂取による便通や腸内環境改善作用ならびに効果的な摂取量について検証するため、4週間の継続摂取試験を実施しました。その結果、低用量(ポップコーン18.6g)の摂取により便通が改善し、高用量(ポップコーン37.1g)の摂取により、便通改善に加え腸内環境の改善作用も確認されました。この結果から、ポップコーンが便通および腸内環境改善に有用であることが明らかになりました。
目次
【目的】
ポップコーンの原料となるトウモロコシは、食物繊維が豊富な全粒穀物として知られており、他の菓子類と比較してもポップコーンは食物繊維、特に不溶性食物繊維が豊富であることが明らかとなっています。不溶性食物繊維には便通改善や腸内環境改善作用が報告されていますが、ポップコーンを用いた試験は報告がありません。そこで、本研究ではポップコーンの4週間継続摂取試験を実施し、アンケート調査や腸内細菌分析による便通や腸内環境の改善作用、ならびに効果的な摂取量について検証を行いました。
【方法】
ポップコーンは味付けをしていないものを使用しました。被験者は週の排便回数が3~5回の軽度便秘傾向である健康な男女44名(20~65歳)を対象として、低用量摂取群(ポップコーン18.6g:食物繊維2.5g)と高用量摂取群(ポップコーン37.1g:食物繊維5.0g)を設定し、4週間の継続摂取を行いました。摂取期間中にアンケートによる排便調査を行い、また摂取前後に採便し腸内細菌の分析と、食事調査も併せて実施しました。
なお、本試験は倫理審査委員会において審査され、承認を得た後に実施しております(承認番号:23000105)。
【結果】
結果① 排便調査
摂取前2週間と摂取3~4週間の値を比較した結果、両群ともに摂取前と比較して排便回数の増加と出やすさの改善が確認され、有意差が認められました。また、便の形状に関しては、高用量摂取群において有意差が認められ、「やや硬い便」から「理想便」へと改善されました。
この結果から、低用量・高用量摂取群ともに便通が改善したことが確認されました。
結果② 腸内細菌分析
高用量摂取群において有用菌であるBifidobacterium bifidumが摂取前より増加しており、低用量摂取群と比べて変化量に有意差が認められました。また、悪玉菌であるParvimonas micraが摂取前と比較して減少し有意差が認められました。
よって、増加と悪玉菌の減少が確認され、腸内環境が改善したことが確認されました。
結果③ 食事調査
被験者の食物繊維摂取量は約14 g/日であり、日本人の食物繊維摂取量(中央値)と同等であることが確認され、厚生労働省の定めた目標値より不足していることが明らかとなりました。
よって、ポップコーンを食べることで、目標値に完全には及びませんが、不足している食物繊維を補えることが確認されました。
【まとめ】
本研究により、ポップコーンを低用量摂取することで便通が改善し、高用量摂取することで便通に加え腸内環境が改善することが明らかとなりました。これはポップコーンの食物繊維が関与したことが考えられます。この結果から、便秘傾向である20~65歳の健康な方において、ポップコーンを継続的に食べることで食物繊維を補うことができ、便通・腸内環境改善に有用であることが明らかとなりました。